最近、僕がよく仕事を貰っているフリーランスエンジニア専門エージェントの担当営業の方が退職するということで挨拶に来られたので、「どうせ辞めるんならぶっちゃけ話を聞かせてください」ということでフリーランスエンジニアの実態を根掘り葉掘り聞いてきました。
今回は、そこでわかったフリーランスエンジニアの実態と、それに伴って、我々若手フリーランスエンジニアが共通して持っている「ある特殊なスキル」について掘り下げていこうと思います。
目次
IT業界で20代フリーランサーは超レア種
僕は27歳の時にフリーランスのITエンジニアとして独立したんですが、当時、世間的にはかなり珍しかったそうです。
まず、フリーランス専門エージェントに応募してくるエンジニアのうち、20代は全体のほんの数%です。なんと、僕が大阪でお世話になっている会社ではいずれも20代でフリーランス契約してるのは僕だけでしたからね。(いまは20代増加傾向)東京ならもうちょっと20代の割合が高いそうですが、それでもメインの層は30代後半〜40代とのこと。
大阪に帰ってきてどこ行ってもやたら「山本さん、20代なのにしっかりされてますね〜」と言われて不思議だったのですが、それだけ数が少なかったら言われて当然かもしれません。だって僕だけですもん。
20代にはそもそも「独立する」という概念がない
予想はしていましたが、ほとんどの20代のエンジニアには「独立する」なんていう発想はなく、そもそもフリーランスという生き方が選択肢に入ってないそうです。
皆、長時間労働や低賃金に疑問を抱きつつも、「エンジニアとはそういうものだ」と自分に言い聞かせて生きてるんですよね。僕にはこれが不思議で仕方ありません。自分で自由に環境を選択できるフリーランスになれば今よりずっと楽なのに。
僕は、サラリーマンエンジニアだった頃も常に「フリーランス」という選択肢を意識して働いていました。今よりもっと自分に適している労働環境があるはずだと思ってアンテナを張ってましたし、隙あらば独立したいと考えていました。
だからこそ、IT技術を身につけることも、ただ社内での評価を上げるためではなく、IT業界全体における自分の市場価値を高めるためと思ってやっていたんですよね。
SIerだと、「社内でしか評価され得ない技術」を身につけさせようとしてくることが多く、何も考えずに業務をこなしてるといつの間にか「社外で通用しない人」になっていて、転職も独立もできず、割りに合わない仕事をやらされ続ける羽目になってる人は多いです。僕はそのような残念なエンジニアにだけはなりたくなかったのです。
ところが、多くのエンジニアはそこまで深く考えて仕事してないし、考えても行動には移さないということでした。
「仕事の紹介」が目的の応募者は全体の半分程度
フリーランス専門エージェントに応募してくるエンジニアの中でも、直近で案件を紹介してもらいたくてやって来るエンジニアは半分程度だそうです。
じゃあ、それ以外の半分は何なのかと言うと、フリーランスという働き方について調査しにくる人達です。彼らは、「自分がフリーになったらどれくらい稼げるの?」とか「自分にもやれそうな仕事あるの?」とか「確定申告ってどんな感じなの?」みたいな疑問を解消するために来るのです。
もちろん、それはフリーランスに興味関心が高いということで、悪いことではありません。調査してみることで、「フリーランスは超ギークじゃないと無理」とか「フリーランスは安定していない」などの古臭いイメージは払拭されるでしょう。もしかしたら、それが決断の後押しとなるかもしれません。
しかし、応募者のうち、自営業者として仕事を請けるだけの腹が決まっているエンジニアは半分程度であり、そこからさらに20代となるとほぼ皆無というのが現状です。
せっかくだからあと一歩踏み出せば、独立して収入めっちゃ上がったりするのになあ、と思います。
若年齢フリーランスエンジニアに共通する「ある特殊なスキル」
僕からすると、エンジニアはある程度技術が身につけばフリーランスになるのが当たり前でした。フリーになれば収入は倍以上になるし、成果を出していれば労働時間は自分でコントロールできるし、好きなだけ自分がやりたい技術の案件を選べるし、どう考えても独立した方が合理的じゃないですか。
フリーランスは不安定だとは言うけど、それなら正社員だってこのご時世相当不安定だぜ?という話ですし。
一般的な20代エンジニアが「フリーランスになろう」なんて考えもしない中、何故このような意識を持つことができたのか。それは、「環境」のおかげでした。
当時、副業がバレて新卒で入社した会社を11ヶ月で辞めることになった僕は、スモールビジネスに取り組みながら派遣社員としてエンジニアを続けていました。そうすると、正社員時代とは付き合う人間はガラッと変わり、自ずと独立思考が強い人間に囲まれるようになるわけです。
その中には、20代のエンジニアも少なからずいました。彼らは技術者をやりながら自分のビジネスを持っているような殊勝な連中ですから、「どうせエンジニアやるなら独立するっしょ。」というノリでカジュアルに次々とフリーランスに転向していくのです。
もちろん、彼らが皆、突出したITスキルを持っていたわけでも、営業力を持っていたわけでもありません。ただ、市場に対する感度の高さとフットワークの軽さだけはその他同世代のエンジニアにはないものを持っていたため、このように柔軟な発想ができたのだと思います。
僕はこれが若くして活躍しているフリーランスエンジニアに共通するスキルだと思っています。つまり、今よりもっと良い環境があるはずだと、まだ見ぬ青い芝を常に探そうとする感度の高さと、新しい環境に怖れることなく飛び込んでいける勇気です。
そんな彼らが周りにいて、20代前半から「あれ?りゅうけんはまだフリーじゃなかったっけ?」とか言われ続ければ、そりゃフリーランスになります笑。
独立するなら環境を選ぼう
独立したいのなら、技術力を身につけることよりも、営業力を身につけることよりも、既に独立してるエンジニアと積極的に絡むことが一番の近道だったりします。僕の場合はまさにそうでした。
多くのエンジニアがなぜフリーランスになろうとしないのか。それは、彼らが「正社員として働くことが当たり前と思っているエンジニア」に囲まれているからです。これは本当です。
そういった環境にいる以上、もし運良く独立心が芽生えたとしても、「正社員として働くことが当たり前と思っているエンジニア」がその独立を妨害してくるでしょう。彼らはきっと、「フリーランスは厳しいよ〜」「フリーランスは不安定だよ〜」などと言って、異分子を排除しようとしてきます。自分がフリーランスになったこともないのに。
もし、あなたが独立を視野に入れられているのなら、まず彼らの話を聞かないことです。そしたら、エージェントの営業に面談してもらってください。独立しようとする時に相談すべきは、独立したこともないサラリーマンエンジニアではなく、案件紹介のプロです。聞く相手を間違えないようにしましょう。
もちろん、これらの企業があなたが今勤めている企業を無理やり辞めさせようとしてくることなどありませんが、「なんか乗せられそうで怖い」という方は、周りのフリーランサーにお茶してもらってください。