「説明会や面接が終わるたび人事部あてに手紙を送りつける」という、やまもと式就活必勝法を以前この記事で紹介しました。これやると嘘みたいに内定とれるんです。ほんと。
で、そのことを気持ちいいくらいに証明してくれたのが、ある時この記事を読んだFラン大学生のF君です。彼はこの就活法を完璧に実践し、なんと、国内最大手金融機関への内定を見事獲得することができました。大学からすると、就職実績に大きく貢献した彼はまさに英雄です。学内スピーチも控えてるとか。
彼との出会いはTwitterでした。彼が「僕のツイートに共感した」というダイレクトメッセージを送ってきてくれたのがきっかけです。「インターネット上のやりとりを数回して終わり」という人が多い中、彼はそれだけでなく、実際に岡山から大阪まで僕に会いに来てくれました。やはり、わざわざ会いに来てくれるというのは素直に嬉しいし、また、彼がすごく謙虚な姿勢だったので、エントリーシートの添削や面接対策なんかも進んでやってあげたのです。
彼は、低学歴にも関わらず超難関企業への切符を手にするというプチ奇跡を起こしてみせたわけですが、彼を見ているとそれはやはり、奇跡は起こるべくして起こったのだなと思えることが多々ありました。今回は、「Fラン大学から大手金融機関への内定を獲得した男から学ぶ人生イージーモードの極意」というテーマで、彼の成功の裏にあったいくつかの人生訓を共有しようと思います。
F君の素性
気になるF君のプロフィールはこうです。
・Fラン大学生
・野球経験者
・岡山在住
まあ、「一般的な大学生」の枠に収まるタイプの子です。野球はうまいそうですが、圧倒的な結果は残していません。言っちゃ悪いけど、これといって人を惹きつける何かを持っているタイプではない。
僕が個人的に応援する人は、基本的には、「僕が関わらなくても成功しそうな人」だけです。「ほっといても伸びそうな人を爆伸びさせる」というのが、応援者としての役割だと思っているからです。打算的だと思う人もいるかもしれませんが、これがコンサルティングの本質なんですよね。コスト感覚のある人であれば、誰でも投資した時間をサンクコストにはしたくないですから。
それでいうと、F君は、プロフィールをみると、ただの田舎のFラン大学生であり、僕が投資した時間が無駄になる(=F君が就活に失敗する)可能性が高いため、本来なら軽くスルーしているところです。ところが、彼には、プロフィールだけでは表現しきれない、可能性を感じさせるものがあったんですよね。
F君の図々しさと行動力
コミュニケーション能力とは、図々しさをお茶目でカバーする能力のことである説。
— やまもとりゅうけん (@ryukke) 2016年5月24日
当時東京に住んでいた僕が大阪に来るたびに、F君は岡山から大阪に出てきて、僕に会おうとしてきました。僕もただの遊びで大阪に来ていたわけではないし、彼もそのことは知っていたでしょうが、それでも何一つ遠慮することなく要求を通す図々しさを彼は持っていたのです。笑
ただ、その「図々しさ」が全くいやらしく感じないんですよね。僕は新卒で入った会社を一年で辞めてるので、社会に出てから後輩らしい後輩ができたことがなかったのですが、彼はよく言われる「かわいい後輩」の類なんだろうなと思います。なんだか憎めないのです。
また、人に会うために岡山から大阪に出てくる彼のフットワークの軽さもさることながら、あらゆる判断を僕という他人に委ねる度胸と素直さがスゴかった。僕が言ったアドバイスに余計な私情を挟まず、漏れなく即実践してくれるので、導きやすいんですよ。
「可能性を感じる人」って、自分が導きやすいと思える人だったりします。一般的にイメージの悪い言葉を使うなら、洗脳しやすい人。彼が就職活動で内定を獲得するというゴールまでの道筋くらいなら僕にも見えていたので、彼が寄り道せずその道をまっすぐ辿るようにさりげなく洗脳していったつもりです。ふふふ。
そう、誰かに洗脳されると人生楽に乗り切れるんですよ。僕は常に僕を洗脳して導いてくれる誰かを品定めしています。積極的受信です。
F君余裕の内定
彼が受けた企業は全部で2社。そのうち、1社から内定が出て、もう1社は最終面接まで行ったものの不採用だったとのこと。打率5割。何十社も面接を受けて、なんとか第三志望くらいの企業の内定にありつけるのが当たり前とされる学生の就職活動の世界では、異常なまでの効率の良さと言えます。
彼は説明会や面接が終わるたびに、感謝の意を述べた手紙を人事部に送りました。しかも、最終面接後は「巻物」ですよ。
そんな古風なことしてくる学生は他にいないですから、顔は覚えてもらえるし、本当にこの会社に入りたいんだという姿勢をもっとも直接的に伝えることができます。自分に好意を持ってくれている人間を無下にできないというのは人の性。それだけ熱意を示してくれている学生を安易に落とすことは企業もできないのです。
我ながら完璧な戦略。
みんなやらないことはみんなやらない
あまりにもこの戦略がどハマりしたF君は、当然周りの就活うまくいってない友達にも教えてあげるわけです。しかし、周囲の反応は予想以上に薄く、誰もやらなかったそうです。
それを聞いて思い出しました。僕も学生の頃、リーマンショック直後の超就職氷河期にもかかわらず、この手法で就活無双したので、なかなか就職活動で結果の出ない友達にも教えてあげたわけですよ。「手紙がヤバイぞ」と。
だけど、「へえ〜いいね〜」とは言うものの、本当に実践した人は誰ひとりいませんでした。結局、みんながやってないことはみんなやらないんですよね。
「人と違うことして企業からの心象悪くするリスクもある」「自分だったら手紙送られても嬉しくない」「手紙の書き方知らない」
とかなんとか、彼らはクソみたいな言い訳を一生懸命考えてるのでしょうが、結局は前例のないことをやるのが怖いだけなんですよ。「人がやってないことにこそ真の価値がある」なんて、もはや手垢のついた格言なのに、なぜ誰もその意味を理解できないのでしょうか。不思議。
人生イージーモードを選択する技術
人生をイージーモードで進めていくとはこういうことです。F君がやった手紙戦略のように、「誰にでもできるのに誰もやらないこと」を選ぶということ。
別に手紙を書くのに特別なスキルなんていりません。書き方がわからなければググればいいだけで。10分で書いて封筒に入れて切手貼って近所のポストにぶち込むだけです。ね、簡単でしょ。
いくら簡単なこととはいえ、誰もやってないことをやるのが不安だというのなら、F君が僕のやり方に身を委ねたように、無心になって信頼できる誰かに判断基準を全て委ねてしまえばいいのです。その信頼できる誰かを見つけるところまでが、あなたの仕事ですよ。