「やるべきことを好きになれ」という賞味期限切れな名言について

“幸福の秘訣は、自分がやりたいことをするのではなく、自分がやるべきことを好きになることだ。”
ジェームズ・バリー

「やるべきことを好きになれ」とかいう、ブラック企業でよく使われるクソ名言あるじゃないですか。これ、完全に賞味期限切れだと思うんですよね。

今日はこの腐れ名言を僕が作り変えようと思います。

まず時代に合ってない

「やるべきことを好きになれ」は、ある分野で人を成功に導くためのフレーズとしては確かに間違ってはいないんですよ。

自分に課されたものを愛することができれば、圧倒的なパフォーマンスを発揮できることでしょう。「好きこそものの上手なれ」とか言いますし。

ところがこれは、「特定の課題に自分をアジャストしなければ社会的な成功を収めることは困難」という前提に立ってる話だと思うんですよね。「それをやらないと成功できないからどうせやるなら好きになれ」と言ってるように見える。

つまり、成功するための道筋が今よりずっと少なかった時代の話ということです。

今は成功するための手段が沢山ある

30年前であれば、サラリーマンとして活躍することが、最も効率的に豊かさを手に入れる方法でした。

さらなる豊かさを得たいなら、大きなリスクを取って、実業で成功するしかなかったのです。

そのように成功の手段が限られた社会においては、つまらない仕事の中にも自分なりのやりがいを見つけないとどうしようもありません。ミスチルみたいに。

僕のした単純作業が この世界を回り回って
まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく
そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に すくないけど 赤 黄色 緑

「彩り」 作詞:桜井和寿

ところが、成功の手段が爆発的に増えた今はどうでしょう。ブログにしろYouTubeにしろ、金銭的なリスクを負わずして、個人が「好きなこと」を発信し、その対価として大きな報酬を得ることが可能になりました。

そうなると、もはや「やるべきことを好きになる」必然性はないんですよ。好きなことで十分成功できちゃうから。

ブログやYouTubeで成功することはもちろん簡単なことではないですが、「手段」として確かにそこに存在していることの意義はとてつもなく大きいのです。

そもそも好きか嫌いかという感情をコントロールするのは難易度が高い

というかそもそも、別に大して好きでもないものを好きになるのってめちゃくちゃ難しくないですか。簡単に言うけど、努力でなんとかできるようなものでもないでしょ。

ちなみに僕は最初に直感的に「嫌だな」と思ったものを好きになれた試しがありません。嫌いなものはずっと嫌いだし、好きなものはずっと好き。そういうもんです。

大企業や大手ネットワークビジネスなら、従業員や会員をマインドコントロールする環境とノウハウが整ってるので、社会経験の浅い田舎者の感情を変化させることなら容易いでしょう。

だけど、ある程度自立心を養ってきた人だと、それに抗えてしまうんですよ。逆に、洗脳されてしまえば楽なんですけどね。僕はどれだけ会長の自伝本を読んでも、社訓を斉唱させられても1ミリも会社を好きにはなれませんでした。だからこそ、辛かった。

みんなは本当はどうなの?やるべきことを好きになれる自信とかあるの?僕は全くないけど。

「好きなことをやるべきことにしろ」

「やるべきことを好きになれ」は今やブラック企業が奴隷をマインドコントロールするための方便に成り下がりました。

「結果が出ないのはやるべきことを好きになれてないからだ」なんてもう、時代錯誤も甚だしいですよ。「好きになるための努力」ほど効率の悪いものはありません。しかも、好きになったところで誰かにイニシアチブを握られるだけ。「やりがいの搾取」のように。

潔く撤退して、好きなことでマネタイズする努力をした方がいいんですよ。で、マネタイズすることも簡単になってきていて、今後さらに容易になっていきます。プラットフォームがどんどん生まれてくるから。もはや一つの手段に固執する必要はどこにもありません。

僕は「やるべきことを好きになれ」を、「好きなことをやるべきことにしろ」に作り変えたいと思います。あなたには、あなたが好きになれもしないのに一生懸命頑張っているそれより、他にやるべきことがあるんです。

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