昨年ごろからブロガー界のトレンドとして急浮上した「僕の時間を50円で売ります!」系サービス。流行は少し落ち着いたといえど、今でも数多の50円ブロガーが世に輩出され続けています。
確かに「50円」という、明らかに儲けるつもりのない価格設定で話題を創出し、一気にバズらせスタートダッシュを決めるというのは、知名度の低い初心者ブロガーにとっては非常に親和性の高いマーケティングであり、合理的な手法であると言えます。
しかし、これはあるブロガーにとっては非常にリスクの高い行為でもあります。はっきり言うと、50円企画をやった方がいいブロガーとそうでないブロガーがいるんですよ。そして、僕はどちらかと言えば後者側のブロガーなんですよね。
プロブロガーの宮森さんが例の「50円企画」で大炎上したのは記憶に新しいですが、炎上するしないに関わらず、宮森さんのブログのスタイルに「50円企画」は非常にマッチしているので正解です。これについては後ほど説明します。
だけど、あなたはどうでしょうか。本当に50円で自分を売る必要がありますか?自分のブログのスタイルにマッチしているでしょうか?一度しっかり考えてみた方がいいと思います。
今回は、僕がこれらの話題創出マーケティングに便乗せず、静観していた理由をお伝えします。
目次
理由その1:質の悪い客が来やすい
まず、価格を50円というタダ同然の価格にすると、質の悪い客が来やすいんですよ。「安いから買ってみた」というロイヤルティの低い客はそれ以上お金を落とさないし、そんな貧乏性の人間は大した影響力も持ってないですからソーシャルでの拡散力もありません。
基本的に「50円企画」は、50円だったらくる人ではなく、50円であろうが10000円であろうがくる、という潜在的な質の高い客層にリーチさせるための手法と考えるのが正解です。ここを勘違いしていると、バカの相手をするだけで自分が消耗して終わりという結果になりかねません。
「ソーシャルで舐められていない人」要するに、「しっかりしていてちょっとこわい人」というセルフブランディングに成功している人ならふざけた客は来にくいですが、それでも一定数のバカは来ます。僕はそれが本当に嫌なのでやりませんでしたw
先の宮森さんが炎上したのも、あるバカが「50円で宮森さんに日雇い労働させてそこで得たお金を自分の口座に振り込ませる」などと思いついたことがきっかけです。
バカの相手をせざるを得ないことも甘んじて受け入れる覚悟がなければやらない方がいいですね。
理由その2:アドセンスで稼ぐスタイル以外のブログには不向き
当ブログのように収益のメインがアフィリエイトからである場合、極端な低価格路線で知名度を上げてPVを稼ぐのはあまり意味がないんですよ。
アフィリエイトは、特定の属性を持つ読者層からしか成約は取れません。転職サービスのアフィリエイト記事をどれだけ書いたところで、読者が全員公務員だったら誰もサービスに登録しないのは明らかですよね。だからこそ、「転職 20代」などの特定のキーワードで検索してくる、意思を持った読者をターゲットにして記事を書くんですよ。
ところが、「50円企画」で話題を創出し、ソーシャルで拡散された場合、雑多な読者層に読まれることになります。それだと、そもそも特定の読者層にしかヒットしないアフィリエイト記事の収益はさほど伸びません。僕がPVを追わないスタイルなのはこのためです。まあ、金にならんからということですねw
ただし、単純にPVに比例して収益が伸びていくものもあります。それがGoogleアドセンスです。検索連動型の広告を記事内に配置しておけば、後はそれらがクリックされるたびに数十円単位の収益が発生するのがこれ。大抵は1PVあたり0.3円くらいの収益性になり、バズればバズるほど稼げます。
そのため、ブログのメインの収益源がアドセンスである場合、「50円企画」でバズらせてアドセンスで稼ぐのは正しい手法であると言えます。宮森さんのブログもまさに収益のほとんどがアドセンスですね。
理由その3:価格競争は愚の骨頂
業界的な相場よりも圧倒的に低価格で販売すると、その分他が抱えている客が流れてきてくれるのではないかと想像しがちなんですが、案外そうでもないんですよね。
10000円のミスチルのライブに行こうとしてる人に、「俺のライブはそれより高クオリティで50円だからミスチルやめてこっちおいでよ!」なんて言ったって誰もあなたのライブには来ないわけです。ミスチルのライブに行きたい人は桜井さんの歌声が聴きたいから行くのであって、音楽であれば何でもいいっていうわけじゃないですからね。
自分のパーソナリティで勝負するブログも同じです。僕がいくらブロガー界の帝王であるイケダハヤトさんより的確にブログをレビューできますといったところで、イケハヤ書生が僕のところに来たりはしません。
ブロガーがそれぞれ独自の島を形成して読者を囲い込んでいるのがこの業界の特徴であり、価格競争の効果が薄い世界だと思っています。そもそも僕は、セルフブランディングに成功すれば価格競争という地獄から逃れられるからブログをやっているようなものなので、わざわざ自ら地獄に足を突っ込むなんてことはしないわけですよ。
「価格」はもはや価値ではありません。安ければ安い方が良いのなら、みんなの携帯はiPhoneではなくガラケーです。ブロガーも牛丼屋みたいに低価格競争で消耗するのはやめて、Appleやスノーピークみたいに独自のブランドの確立に力を入れた方がいいですよ。
それについては、こちらの記事で掘り下げてます。
理由その4:やってる人が多いからそもそも話題にすらならない
あとはこれですね。もうやってる人が多すぎてコモディティ化し、以前より話題になりにくくなっています。こうなってしまうと、まさにやる意味がなくなってきます。
さいごに:流行ってるからやる、じゃダメ
前述の通り、「50円企画」はやった方がいいブロガーとそうでないブロガーがいます。
ただ、「流行っているし」とか、「バズワードだし」などと言って、盲目的にやってしまうことほどセンスのないことはないでしょう。ブログだってお金を稼ぐ以上、立派なビジネスですからアホではできません。自分の立ち位置をよく理解しながら運営していきましょう。